ルシカ、フラワーフラワー /  No.18 “カメレオン”

モノトーンといえば、白・黒・グレーのような無彩色で構成された世界観を

思い浮かべるかもしれません。

先にお伝えしておくと、本作はモノヴァースシリーズではありません。

少々紛らわしい気もしますが、それで良いとも思っています。

シリーズ名とは、私が区分けして自立させたい表現に付けたものです。

けれど、男・女・LGBTQといった分類も、結局は“人間”という一つの存在に

収まりますし、人・鹿・蟻も、最終的には“生き物”という同じ枠に含まれてしまう。

飛躍しすぎかもしれませんが──分けすぎることは、制作の自由を逆に縛ることもある。

だからこそ、時には深く考えないようにしています。そんな日もあります。

話を戻します。

かつてのアトリエは、生活空間を白・黒・グレーでまとめていました。

少し綺麗だったキッチンだけは、チャバネゴキブリのような艶やかなブラウンで

それはそれで気に入っていたのですが、モノトーンの中では妙に悪目立ちして見えたりして。ダイニングからキッチンへ移るたび、色彩が“洋室から和室へ”切り替わるくらいの空気の変化を感じたものです。

そんな私も、いまではアジアン雑貨店のような、混沌として賑やかな色彩の中で暮らしています。

もはやカオスです。けれど、不思議と落ち着くのです。

もちろん、モノトーンの統一された空間への憧れが消えたわけではありません。

でも、必要なものが必要な場所に強く点在するこの色彩空間でないと

逆に落ち着かない自分になってしまったのも事実です。何と言っても便利ですから。

人は環境に適応する。

そして、自分を変えたいなら、環境を変えるのが一番手っ取り早い。

その過程で、身近な色も七変化していく──

そんな変化を感じる、微妙で繊細な心を表題に込めました。