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ルシカ、フラワーフラワー / No.19 “甘い記憶、melt”
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「ちょっとした特殊能力があるんですよね。」
知人がそう言った。
どうやら“消したい記憶を意図的に忘却できる”らしい。
なんて便利な能力なんだ。
しかしひと呼吸おいて考えてみれば、人間って、確か皆にそういう機能が備わっていなかったっけ?と思い問い返せば、それとはまた少し違うらしい。
彼女には、かつて「この状況を全部消し去りたい」と思っていた時代があったという。
凄く端折って簡単に言うと──
彼女は“とある事情で記憶障害になったことにした”らしい。
するとどうなったかというと
周囲の態度がまるでガラリと変わり、それぞれの繋がりの中で築かれてきた“不都合なこと”は全て、何もかも無かったことのようにリセットされたのだという。
その状況に彼女は思ったらしい。
「あぁ……これまで抱えてきた不都合や不満や面倒事なんて、こんなものだったんだ。こんなに簡単に“過去”って無かったことに出来るんだ」と。
そこから、どうして日常的に“消したい記憶を忘却できる”までになったのかは、はっきりとは聞いていない。(お酒も回っていたので、それこそ私も記憶を忘却したのかもしれない。)
まあでも、そんな体験をきっかけに
“消したい記憶は忘れられる”ように自分でマインドコントロールできるようになった──
ということなのだろう。
確かに彼女は、周囲に何を言われようと自分と真っ直ぐ向き合い、貫き、我が道をゆく……そんなオーラを持った人だ。
だから、この“特殊能力”も、その一端なのかもしれない。
いいなぁ。
私はそんな都合の良い能力は残念ながら持ち合わせていないので、
暗黒微笑を浮かべていたあの時代のあれこれや、幼かった頃の過ち、選択ミスで起きた大失敗、“一生墓場まで持っていく類の記憶”など──挙げればキリがないほど、抹消したい過去がある。
もしもこれらの“苦い記憶”が全て消えるのなら
対極の位置にある“甘い記憶”は全部失ってもいい。
“普通”だけ残して、その甘い記憶ごと全部、溶かしてしまいたいかもしれない。
そんなことを思いながら、数年ぶりに二人で飲んだ夜の記憶。
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ルシカ、フラワーフラワー / No.19 “甘い記憶、melt”
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